賃貸を退去するとき、どのくらいの費用がかかるのか気になりますよね。 「相場より高い請求が来た」「敷金が全額差し引かれた」というトラブルは、国民生活センターに年間約6万件以上寄せられています。
このページでは、部屋タイプ・入居年数別の退去費用相場を国交省ガイドライン基準で解説します。 相場を知ることで、過剰請求を見抜く力が身につきます。
以下の相場は国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づく一般的な目安です。 実際の費用は築年数・地域・契約内容・破損状況によって変わります。
部屋タイプ別の退去費用相場
退去費用の相場は部屋の広さに比例します。以下の表は、通常使用(喫煙なし・ペットなし・故意の破損なし)を前提にした目安金額です。
| 部屋タイプ | 広さ目安 | 退去費用 相場 | 主な内訳 |
|---|---|---|---|
| 1K・ワンルーム | 20〜30㎡ | 3〜8万円 | クリーニング2〜5万円、クロス0〜3万円 |
| 1DK | 25〜40㎡ | 4〜10万円 | クリーニング3〜6万円、クロス0〜4万円 |
| 2DK | 35〜55㎡ | 5〜18万円 | クリーニング3.5〜7万円、クロス0〜6万円 |
| 1LDK | 35〜55㎡ | 5〜15万円 | クリーニング4〜8万円、クロス0〜7万円 |
| 2LDK | 50〜70㎡ | 8〜20万円 | クリーニング5〜10万円、クロス0〜10万円 |
| 3LDK | 65〜100㎡ | 10〜30万円 | クリーニング7〜15万円、クロス0〜15万円 |
| 4LDK以上 | 80㎡〜 | 15〜40万円以上 | 面積・築年数・状態による |
※通常使用(喫煙なし・ペットなし・目立った破損なし)の場合の目安。クリーニング費は特約なし・通常清掃時は貸主負担が原則。
⚠️ 相場を大幅に超える請求が多い
上記は借主負担の適正範囲であり、実際の請求書には「相場の2〜3倍」の金額が記載されることもあります。 特にクロス(壁紙)の全額請求と消毒費の請求は過剰なケースが多く、国交省ガイドラインでは争える余地があります。
1LDK の退去費用相場・詳細
最も相談件数が多いのが1LDK(40㎡前後)です。入居年数別の費用変化を確認しましょう。
| 入居年数 | クリーニング | クロス張替え | 合計目安 |
|---|---|---|---|
| 〜1年 | 4〜6万円 | 3〜7万円(約67%) | 7〜13万円 |
| 1〜3年 | 4〜6万円 | 1〜4万円(約33%) | 5〜10万円 |
| 3〜6年 | 4〜6万円 | 0.5〜2万円(約17%) | 5〜8万円 |
| 6年以上 | 4〜6万円 | ほぼ0円(約1%) | 4〜6万円 |
※1LDK・40㎡・クリーニング費単価3,500円/㎡・クロス単価1,500円/㎡として計算。カッコ内はクロスの借主負担割合(残存価値)。
費用項目別の相場
退去費用の大半を占める4つの費目について、相場と「誰が負担すべきか」を解説します。
ハウスクリーニング費
原則:貸主負担(特約なしの場合)
費用目安
3,000〜5,000円/㎡
1LDK(40㎡)の場合
12〜20万円程度
通常の清掃を行っていれば、国交省ガイドラインではハウスクリーニング費は貸主負担が原則。 「退去時のクリーニング費は借主負担」とする特約が重要事項説明書で明示されていた場合のみ借主負担となります。
ハウスクリーニング費の詳細ガイドを読む →クロス(壁紙)張替え費
耐用年数6年・残存価値分のみ借主負担
施工単価の目安
1,000〜1,500円/㎡
6年以上入居の場合
借主負担ほぼゼロ
入居年数と借主負担割合(目安)
1年
約83%
2年
約67%
3年
約50%
4年
約33%
5年
約17%
6年〜
約1%
クロスの残存価値は「1 − (入居年数 ÷ 6)」で計算。6年で残存価値がほぼ1円となり、借主が負担できるのはこの残存価値分のみです。
クロス費用の詳細ガイドを読む →フローリング・床補修費
故意・過失による破損のみ借主負担
部分補修(1〜2箇所)
1〜5万円
全面張替え(1LDK)
10〜20万円
家具による軽微な凹み・日常生活による小傷は通常損耗として貸主負担が原則。 重い物の落下、ペットの爪傷、タバコの焦げ跡は借主負担になる場合があります。 フローリングの耐用年数(一般的に20〜30年)も考慮されます。
フローリング費用の詳細ガイドを読む →鍵交換費・消毒費
原則:どちらも貸主負担(特約がある場合を除く)
鍵交換費(1箇所)
1〜3万円
消毒費(室内消毒)
1〜2万円
鍵の紛失なしで退去する場合の鍵交換費は、国交省ガイドラインでは原則として貸主負担。 消毒費(バルサン・室内消毒など)も借主が依頼していない場合は原則貸主負担です。 特約なしでこれらを請求された場合は異議を申し立てられる可能性があります。
入居年数で変わる借主負担
国交省ガイドラインでは、設備・内装の劣化には「経年劣化・自然損耗」として貸主が負担すべき部分があると明記されています。 入居年数が長いほど、借主が負担すべき金額は少なくなります。
| 入居年数 | クロス残存価値 | 過払いリスク | 特に確認すべき点 |
|---|---|---|---|
| 〜2年 | 約67〜100% | 低〜中 | クリーニング特約の有無 |
| 2〜4年 | 約33〜67% | 中 | クロス張替え費の残存価値計算 |
| 4〜6年 | 約1〜33% | 高 | クロス全額請求は過剰の可能性 |
| 6年以上 | 約1% | 高 | クロス代をほぼ払わなくてよい |
6年以上住んでいてクロス全額請求は要注意
入居6年以上でクロス(壁紙)の残存価値はほぼ1円。全額請求は過剰請求の可能性が高いです。 まず請求内訳と根拠資料の提示を管理会社に求めましょう。
地域別の費用傾向
退去費用の「施工単価」は地域によって差があります。ただし、国交省ガイドラインによる借主・貸主の費用分担ルール自体は全国共通です。
| 地域 | クリーニング単価 | クロス単価 | 傾向 |
|---|---|---|---|
| 東京23区・大阪市内 | 4,000〜6,000円/㎡ | 1,200〜1,800円/㎡ | 高め |
| 政令指定都市 | 3,500〜5,000円/㎡ | 1,000〜1,500円/㎡ | やや高め |
| 地方都市・郊外 | 2,500〜4,000円/㎡ | 800〜1,300円/㎡ | 標準〜低め |
※地域別の単価は目安です。実際の費用は物件・業者・時期によって変わります。
東京・都市部での注意点
東京23区内では引越しシーズン(3〜4月)に業者単価が上昇するため、退去費用が高くなる傾向があります。 ただし施工単価が相場より高くても、借主負担の計算方法(残存価値・耐用年数)は変わりません。 クロスの残存価値が1%なら、単価が2,000円/㎡でも借主が負担できるのはその1%分のみです。
相場より高い請求が来たときの対処法
「相場の2〜3倍の請求が来た」というケースは珍しくありません。以下の手順で対応しましょう。
✅ 払いすぎを防ぐために知っておきたいこと
- 入居時・退去時の写真・動画を必ず撮影・保管する
- 退去立会いには必ず出席し、確認書にサインする前に内容を精査する
- 請求書が届いたら14日以内に内訳根拠の提示を求める
- 管理会社とのやり取りはメールや書面で記録を残す
- 消滅時効は退去から5年(早めに行動することが重要)
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退去費用の相場に関するよくある質問
Q退去費用の相場はいくらですか?
部屋タイプによって異なります。1K(20〜30㎡)で3〜8万円、1LDK(35〜55㎡)で5〜15万円、2LDK(50〜70㎡)で8〜20万円が目安です。ただしこれは「借主が支払うべき適正額の目安」であり、実際の請求書にはこれより高い金額が記載されることがあります。
Q敷金と退去費用の関係は?
退去費用(原状回復費用)は敷金から差し引かれるのが一般的です。敷金が退去費用を上回れば返金、下回れば追加請求になります。ただし「適正な退去費用」に限られるため、不当な請求は差し引かれるべきでない場合があります。
Q退去費用が相場の2倍以上だった場合は?
まず各費目の施工単価・計算根拠の提示を管理会社に書面で求めましょう。クロスの全額請求・消毒費・鍵交換費などは特約なしであれば払いすぎの可能性があります。退去費用チェックツールで妥当性を確認した上で交渉を進めることをお勧めします。
Q退去費用を下げることはできますか?
国交省ガイドラインに基づいて不当な請求に異議を申し立てることで減額できる場合があります。特に入居年数が長い場合(6年以上)のクロス代、クリーニング特約なしでのハウスクリーニング費、特約なしの鍵交換費・消毒費は交渉しやすい項目です。
Q退去費用の消滅時効はいつですか?
退去費用の返還請求権(払いすぎた分を取り戻す権利)は、払いすぎを知った時から5年が目安です(民法166条・2020年改正)。退去から時間が経つほど証拠も失われやすいため、請求書が届いたら早めに確認・行動することが重要です。